ASUS X99-S→ASUS Z10PA-D8に変えた話
My experience buying ASUS Z10PA-D8
はじめに
このサイトを運営しているWebサーバーですが、今まではデスクトップ用のマザーボード、Asus X99-Sを使っていました。この世代のXeonにはCPU内部にGPUが統合されていないため、消費電力の低いGT710を別途挿して起動させる必要がありました。
構成は、CPUがXeon E5 2650L v4、メモリ8GB×8枚で64GB、2.5インチHDD 3台、CPUファン+ケースファン4つで、消費電力は約73W程度でした。実際これでも十分低いとは思っていましたが、24時間稼働させると考えると・・個人的にもっと電力を下げて40W~50Wぐらいにできればと考え、BIOSの設定で使わないUSB端子などを無効化したり、メモリを8枚から4枚に減らしたりしました。しかし、消費電力は73Wから変化しませんでした。
個人的に、メモリを抜いても変化がないというのははじめてで、憶測ですが、X99チップセットは、メモリコントローラーやメモリチャネル全体に対して一定の電力を供給し続けている可能性があるんじゃないのかなと思いました。つまり、メモリスロットが空いていても、そのチャネルやコントローラー自体は通電状態を維持しているため、実際のメモリチップの有無による差が出にくいのかもしれません。
※これはあくまで憶測です。もしかしたら、DDR4メモリはアイドル時において、セルフリフレッシュモードなどで極めて低消費電力になるので、実際の消費電力が想定より大幅に低く(1枚あたり1W未満など)、4枚抜いても合計数W以下の差しか生まれていない可能性もあります(このブログを書いているときに思いました)
Asus Z10PA-D8への移行
Asus Z10PA-D8をなんとか入手できましたので、マザーボードを変更しました。
マザーボードの仕様はこちら

メモリは承認済みベンダーリストに記載されているMicronの2133MhzのRDIMMのものを使いました(仕様はこちら)。
その他の構成は以前のAsus X99-Sと同じです。
このマザーボードは、Intel C612チップセット搭載のサーバー/ワークステーション向けマザーボードで、Xeon E5-2600 v3/v4シリーズに対応しています。デュアルCPUソケットを搭載していますが、シングルCPU構成の場合はメモリスロットが4枚しか使用できないため、32GB(8GB×4枚)の構成で実測を行いました。
このマザーボードの最大の特徴は、ASPEED AST2400グラフィックチップがオンボードで搭載されていることです。これにより、X99構成では必須だったGT710などの外部グラフィックカードが不要になります。また、一般的なATXケースにも収まるサイズ感なのも嬉しいポイントでした。
このマザーボードはM.2スロットがついてはいますが、2242(22mm幅×42mm長)のデバイスのみ対応となっていて、一般的な2280サイズは刺せないので注意が必要です。

8ピンのCPU電源が2つ付いていますが、CPU TDPが85W以下の場合は一つでも問題ありません。もしデュアル構成にする・もしくはTDP105W以上のCPUを使う場合は、2つとも刺さないと起動しませんので注意してください。

背面のIOです。映像出力はD-subのみとなっています。

消費電力検証
ワットチェッカーで計測をしてみると、44W(ファイアウォールサーバーとUPSの7Wを除いたもの)という結果でした。期待していた40W~50Wの範囲に収まってくれました。

↑FW+UPS+Webサーバ(ASUS Z10PA-D8)=51W

↑FW+UPS=7W
この消費電力削減の要因として考えられるのは、GT710を取り除いたことと、サーバーグレードの電源管理などが効いたのではないかと思っています。
その後、実際にCPUに大きな負荷を与えると140W程度まで消費電力が増加しました。同じ処理をX99-Sで行わせたところ160W程度まで上昇していたので、C-Stateは両者ともに機能していますが、GT710の有無やマザーボード設計の違いなどで約20W程度の削減ができていることがわかります。個人的にシングル構成だと、メモリ4枚しか認識しないので、そこの違いなのかなと思ってはいます。

↑CPUに負荷をある程度かけてみたとき=140W
実際に負荷をかけている様子です。28スレッドだとみてて壮観です。

GT710を付ける必要がなくなったため、ケース内温度が下がりCPU温度も5℃程度落ちてくれました。
$ sensors
Package id 0: +30.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 0: +24.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 1: +24.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 2: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 3: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 4: +26.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 5: +26.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 6: +26.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 8: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 9: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 10: +26.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 11: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 12: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 13: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
Core 14: +25.0°C (high = +63.0°C, crit = +73.0°C)
おわりに
この世代のマザーボードはまだ人気があるのか、現在でも結構な値段で取引されています。Z10PA-D8は消費電力の削減、オンボードグラフィックの搭載、標準的なATXサイズという点で、個人向けサーバー用途に適したマザーボードだと感じました。
私の場合、BIOSの設定は基本的にデフォルトのままで問題ありませんでしたが、使用しないネットワーク端子は無効化することで、わずかながら消費電力の削減に貢献しています。C-state部分はデフォルトでうまく機能してくれます。個人的に使わないものはBIOSで止めるようにしていますので、PCIeスロットやSSATAなどはdisableにしてありますが、消費電力に大きな変化はありませんでした。ジャンパーピンなどで無効化したほうが効果的かもしれません。
もし同様の用途で低消費電力なサーバー構築を検討している方がいれば、Z10PA-D8は選択肢の一つとして検討する価値があると思います。ただし、M.2スロットが2242サイズのみ対応という点や、シングルCPU構成ではメモリスロットが4枚に制限される点には注意が必要です。
次はデュアルでも試してみようかなと思っていますが、消費電力どれくらいあがるんだろう・・