レガシー32bitノートPCでFreeBSDを試す(Asus EeePC 1001px)
Installing FreeBSD on an old laptop (Asus EeePC 1001px)
はじめに
使わずホコリを被っていたAsusのEeePC 1001xをみつけました。
EeePC 1001xは今から約15年前の、2011年に発売をされたノートパソコンです。低価格が魅力ということを当時の記事に書いてありました。仕様をみていきます。
| プロセッサ | Intel Atom N450 1.66GHz(1コア HT対応) |
| メモリ | DDR2-667 1GB(最大2GBまで認識可能) |
| ストレージ | 256GB HDD |
| OS | Windows XP Home Edition |
| ネットワーク | LAN端子×1 Wifi(802.11 b/g) |
| その他 | Bluetooth,Webカメラ搭載 |
外観はこんな感じです。電子辞書のような見た目をしています。

大きさは約12インチのタブレットサイズです。SSDと並べるとこんな感じです。
※過去にステッカーを貼っていたので跡が残っちゃいました。

メモリスロットを確認しようと開けてみたところ、既に最の2GBが入っていました。

このPCのCPUであるAtom N450プロセッサは32bitのみ対応となっています。PuppyやDebianなども考えましたが、今回は軽量で安定性の高いとされているFreeBSDをインストールしていきたいと思います。
FreeBSDのインストール・起動
freebsd.orgから32bit版を落としてメモリースティックにFreeBSDを焼いていきます。以下のURLからダウンロードが可能です。
https://download.freebsd.org/releases/i386/i386/ISO-IMAGES/14.3/
WindowsならBalena Etcher、Linuxならddコマンドなどでインストールディスクの作成が可能です。焼いたらPCに刺して起動→ブートメニューからUSBを選択しましょう。
インストール時の設定ですが、キーボードの入力設定だけできていれば基本的に今回の作業に支障はありません。最悪の場合、後で設定の変更が可能なので、適当で大丈夫だと思います。
ネットワークへの接続
起動後、ifconfigコマンドで確認をしたところ、Wifiモジュールを認識していませんでした。
dmesgを確認したところ、Wifiモジュールがath0という名前で認識はされているみたいだったので、ifconfigコマンドに追加していきます。
※以下の作業はrootユーザで行っています
ifconfig wlan0 create wlandev ath0
rc.confに追記して、今後は起動時に自動でifconfigに追加されるようにしていきます。
vi /etc/rc.conf
wlans_ath0="wlan0"
ifconfig_wlan0="WPA DHCP"
次はwifiルータが正常にみえているか確認を行います。
仕様にも書きましたが、このノートPCはIEEE 802.1b/gなので、5GHzに対応していません。2.4GHzのチャンネルしか見えないので注意が必要です。
sudo ifconfig wlan0 scan
wpa_supplicantでWifi設定をおこなっていきます。以下のようにWifiのssidとパスワードを指定します。
vi /etc/wpa_supplicant.conf
network={
ssid="hogehoge"
psk="hogehoge"
}
複数設定をしたい場合は同様の形で、wpa_supplicantに追記していきます。基本的に上から下と読みますが、priorityを指定することで優先度の変更なども可能です。
network={
ssid="hogehoge"
psk="hogehoge"
}
network={
ssid="hogehoge2"
psk="hogehoge2"
}
# パスワードなしの場合
network={
ssid="open-hogehoge"
key_mgmt=NONE
priority=1 # 接続優先度 数字が大きいほど優先度高
}
次にwpa_supplicantを使って接続をしていきます。
ifconfig wlan0 up
wpa_supplicant -i wlan0 -c /etc/wpa_supplicant.conf
# 接続確認
ping 8.8.8.8
PING 8.8.8.8 (8.8.8.8): 56 data bytes
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=0 ttl=117 time=9.990 ms
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=1 ttl=117 time=10.046 ms
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=2 ttl=117 time=11.432 ms
^C
--- 8.8.8.8 ping statistics ---
以上でWifiモジュールでのネットワーク接続ができるようになりました。
もし、起動時に自動でWifiに接続したい場合はrc.confに以下を追加してください。
vim /etc/rc.conf
wpa_supplicant_enable="YES"
wpa_supplicant_flags="-i wlan0 -c /etc/wpa_supplicant.conf"
有線で接続をする場合
Wifiを使わず有線で接続をする場合は以下のように行います。
※個人的にvimやsudoが使えないのが厳しいので、有線で必要なパッケージをインストールしてから、無線の設定を行うようにしました。
# ネットワーク確認
ifconfig
# 有線LAN(alc0)への接続
sudo ifconfig alc0 add 192.168.1.101 netmask 255.255.255.0 up
sudo route add default 192.168.1.1
無事にネットワークが繋がるようになりましたら、pkg installで好きなパッケージをインストールしましょう。
例えばvimをインストールする場合は以下のように行います。
pkg install vim
# 間違えて要らないものをいれてしまった場合
pkg remove vim
pkg autoremove
sudoの設定
次にsudoの設定を行っていきます。
はじめにsudoをインストールします。
pkg install sudo
# インストール後、visudoで設定
visudo
hoge ALL=(ALL) ALL
※wheelグループに権限を与えて、該当ユーザを追加するほうがセキュリティ的に安全みたいなので、そちらも書いておきます。どちらかお好みの方を選んでもらえると幸いです
visudo
# 以下を追加orコメントアウト
%wheel ALL=(ALL) ALL
# ユーザ(hoge)をwheelに追加
pw groupmod wheel -m hoge
設定が終わりましたら、一度ログアウトして、一般ユーザからログイン後、sudoコマンドが使えるか試してみてください。
GUIのインストール
今回、FreeBSDにデフォルトでインストールされている超軽量のGUI「twm」を使っていきます。.xinitrcを作成して、以下を記述します。※ここから先は一般ユーザでの作業となっています。
# 最小要件の場合、必要なパッケージをインストール
pkg install xorg twm xterm
vim ~/.xinitrc
xterm &
exec twm
保存しましたら、startxで起動確認を行います。無事に起動ができれば設定OKです。
startx
日本語入力・表示設定
日本語表示のために以下のパッケージをインストールしていきます。お好みで好きなフォントをいれてください。
sudo pkg install ja-font-ipa noto-cjk
fc-cache -fv
次に日本語入力のためにibusをインストールします。
sudo pkg install ja-ibus-mozc ibus
先程の.xinitrcに、日本語入力のための環境変数を設定していきます。
※twmよりも必ず前に記述してください
sudo vim ~/.xinitrc
export GTK_IM_MODULE=ibus
export QT_IM_MODULE=ibus
export XMODIFIERS=@im=ibus
ibus-daemon -drx
xterm &
exec twm
startxでGUIを起動させ、ibusの設定を行います。
startx
ibus-setup
ibus-setup上で、ctrl+spaceで切り替えや、mozcや日本語キーボードなどの設定を行って自分好みにアレンジしてください。
ブラウザのインストール
Midoriやその他ブラウザを入れてみましたが、設定などの変更が面倒で、私には合いませんでした。
個人的にfalkonがそこそこ軽快で、設定の変更も必要なかったので今回はこれに落ち着きました。
sudo pkg install falkon
falkon

おわりに
このPCでどれくらいいけるんだろうと色々試してみましたが、思った以上に動いてくれました。3MB前後のメモリ消費で動くtwmが強すぎますね。ブラウザで重たいページを見ない限りはDDR2でも特に問題ありませんでした。
とはいっても、これをシンクライアントとして使うとかそういうのは厳しいですが、こういう古いPCでも動いてくれるのをみると嬉しいなと思います。
古くなったPCをお持ちの方で、まだ使ってあげたいなという風に思っている方の参考になれば幸いです。
おわり