NetBSDを32bit版ノートPCで試す(ASUSE EeePC)
Installing NetBSD on an old laptop (Asus EeePC 1001px)
はじめに
2025年12月にリリースされたFreeBSD 15で32bit版(i386)のサポートが正式に終了し、レガシーなハードウェアが開発ターゲットから外れる中「32bitの古いPCをガチで軽量かつガチでシンプルに動かすならどこへ行くべきか?」と考えた結果、NetBSDに辿り着きました。
今回は、このNetBSDを古い32bit PCにインストールする方法や、おまけに日本語GUI環境を構築するまでの記録を残します。
構築環境
今回NetBSDをインストールして検証するのは、一世を風靡したネットブック「ASUS Eee PC」です。
現代のWebブラウジングや重量級OSには厳しいスペックですが、軽量かつシンプルなNetBSDであれば、十分に実用的な端末として蘇るのではないかと期待しています。

FreeBSDなど他OSでは32bit(i386)サポートが縮小傾向にありますが、NetBSDは公式にサポートを継続しており、このクラスのハードウェアでも快適に動作します。
- PC: ASUS Eee PC (32bit版)
- CPU: Intel Atom (i386アーキテクチャ)
- Memory: 2GB
- Storage: HDD/SSD
- OS: NetBSD 10.1 (i386)
以下インストール手順をまとめました。
インストールメディアの作成
まず、NetBSDのi386向けポートページからUSB用のイメージをダウンロードします。
ダウンロードしたら、ddコマンドでUSBメモリ等のメディアに書き込みます。Windowsの場合はbalenaEtcherなどを使うと簡単です。
Linux/Macでの作成例:
# gzipのまま書き込む場合
zcat NetBSD-10.1-i386-install.img.gz | sudo dd of=/dev/sdX bs=1M status=progress
# 解凍してから書き込む場合
gzip -d NetBSD-10.1-i386-install.img.gz
sudo dd if=NetBSD-10.1-i386.img of=/dev/sdx bs=4M status=progress conv=fsync※ conv=fsync は書き込み終了後、バッファに残ったデータをディスクに完全に同期させるオプションとなっています。
書き込みが終わったら念の為 sync してから抜きます。
syncインストール手順
USBからブートし、インストーラー(sysinst)に従って進めていきます。
- 言語とキーボード:
- English (言語)→Japanese (日本語キーボード)
- Install System:
Install NetBSD to hardDiskを選択。 - Available Disks:
wd0(通常のHDD/SSD) を選択。「This is correct geometry」で進みます。 - パーティション: 今回はNetBSD単独利用なので
Use the entire diskを選択します。
パーティション分割の目安
自動設定でも良いですが、手動で切る場合の目安は以下の通り。
- /(Root): 4GB程度(インストーラー提示の4418等でOK)
- swap: メモリの2倍程度(2039等)
- mnt (tmpfs): メモリが少ないPCなら「No」にして、パーティションとして
/tmpを1GB程度作成。メモリが十分ならtmpfsでOK。
※使い方にもよりますが、基本遊ぶぐらいならデフォルトでいいと思います。 - /var: 4GB〜8GB
- /usr: 30GB〜40GB(ここにアプリやソースが入ります)
- /home: 残り全て

LVMを利用して柔軟に管理したい場合は、LVM PVを「残り全て」で確保し、後から論理ボリュームを切るのも手です。
(例: /usr 15GB, /var 2GB, /home 10GB とし、残りは未割り当てにしておく等)
システム設定
- Installation type:
Minimal installationを選択し、a(install image) を選びます。 - Root password: 忘れないように設定。
- 乱数生成: 「暗号化鍵生成のためのランダムデータが足りない」と言われたら、キーボードを適当に叩いてエントロピーを稼ぎます。
- ネットワーク: ここではNameServerだけ
8.8.8.8等に設定しておきます。 - TimeZone: Asia/Tokyo
- その他サービス:
ntpd: 時刻合わせ。今回はNo。mdnsd: Multicast DNS。今回はNo。xdm: グラフィカルログイン。ドライバ周りが不安なので最初はNo。cgd,lvm,raidframe: 学習用やシンプル構成ならNoでOK。
最後に一般ユーザーを作成(Add a User)して、再起動します。
インストール後の初期設定
再起動後、rootでログインします。
ネットワークの手動設定
インストール時にDHCP等で設定していない場合、手動で設定します。
(例: インターフェース名が alc0 の場合)
# 一時的な設定
ifconfig alc0 192.168.1.20 netmask 255.255.255.0
route add default 192.168.1.1恒久的に設定を残す場合は、設定ファイルに記述します。
echo "192.168.1.20 netmask 255.255.255.0" > /etc/ifconfig.alc0
echo 'defaultroute="192.168.1.1"' >> /etc/rc.conf
echo "nameserver 8.8.8.8" > /etc/resolv.confパッケージ管理システムの準備 (pkgsrc/pkgin)
NetBSDでは pkg_add や pkgin を使います。まずはパスを通します。
export PKG_PATH="http://cdn.netbsd.org/pub/pkgsrc/packages/NetBSD/$(uname -p)/$(uname -r | cut -d_ -f1)/All"SSL証明書のインストール
これがないと git や curl がHTTPSエラーで動きません。NetBSDはデフォルトでルート証明書を持っていません。
pkg_add mozilla-rootcerts
mozilla-rootcerts install便利なパッケージ管理ツール pkgin を入れます(Linuxのaptやyumのような感覚で使えます)。
pkg_add pkgin
# データベース更新
pkgin update基本ツールのインストール
# エディタ、シェルなど
pkgin install vim bash bash-completion
# 開発・運用ツール
pkgin install git curl wget tmux htop tree私はLinuxやFreeBSDではsudoを使っているのですが、今回は少しでも軽量したいがためにdoasをインストールしました。
pkgin install doasdoas の設定を編集します。/usr/pkg/etc/doas.conf)を作成して、以下を記述してください。
permit persist :wheelおまけ GUI環境 (X Window System) の構築
インストール時に「Minimal」を選んだ場合、Xが入っていません。後から追加する場合は、公式のバイナリセットを取得して展開します。
# 必要なセットをダウンロード
ftp https://cdn.netbsd.org/pub/NetBSD/NetBSD-10.1/i386/binary/sets/xbase.tgz
ftp https://cdn.netbsd.org/pub/NetBSD/NetBSD-10.1/i386/binary/sets/xfont.tgz
ftp https://cdn.netbsd.org/pub/NetBSD/NetBSD-10.1/i386/binary/sets/xserver.tgz
ftp https://cdn.netbsd.org/pub/NetBSD/NetBSD-10.1/i386/binary/sets/xetc.tgz
# ルートディレクトリに展開
tar -zxpf xetc.tgz -C /
tar -zxpf xbase.tgz -C /
tar -zxpf xfont.tgz -C /
tar -zxpf xserver.tgz -C /
# デフォルトの設定ファイルをコピー
cp /etc/X11/xxinit/xinitrc ~.xinitrc軽量ブラウザの netsurf も入れておきましょう。
doas pkgin install netsurf日本語入力環境の整備
軽量かつ安定している uim + anthy の組み合わせを採用します。
doas pkgin install uim uim-anthy vlgothic-ttf- uim: 入力メソッドフレームワーク
- uim-anthy: かな漢字変換エンジン
- vlgothic-ttf: 日本語フォント
.xinitrc の設定
startx した時にこれらが読み込まれるよう、ホームディレクトリの .xinitrc に記述します。
※exec ctwmの前に記述するようにしてください
#!/bin/sh
# 環境変数の設定
export LANG=ja_JP.UTF-8
export LC_ALL=ja_JP.UTF-8
# 入力メソッドの指定
export XMODIFIERS=@im=uim
export GTK_IM_MODULE=uim
export QT_IM_MODULE=uim
# uimのバックグラウンド起動
uim-xim &
# ツールバーの表示
uim-toolbar-gtk &これで startx すれば、古き良き32bitマシンでもサクサク動く日本語NetBSD環境の完成です。
自分のサイトをNetSurfで表示させてみましたが、CSSが限定されているため、ちょっとデザインが崩れてしまいましたね。

まとめ
個人的にNetBSDは、FreeBSDの親戚ぐらいにしか思っていなかったのですが、実際に触ってみると、バックグラウンドで知らない謎のプロセスが動いていないクリーンさが非常に心地よいOSでした。32bit版のメモリ2GBとは思えない軽量具合です。
FreeBSDでも同じようなことを言っていたと思いますが・・気になった方は以下の記事を参照してみてください。
「Of course it runs NetBSD」というミームや、「トースターからスーパーコンピュータまで」というスローガンの通り、移植性の高さはOSで一番で、家にある古いiPodなどにNetBSDを動かすこともできるみたいなので、また今度遊んでみようかなと思います。
以下、個人的に一番いいなと思った長所です(今までに散々言われていることかもですが)。
NetBSDのここが良い
個人的に気に入っているのがファイルシステム階層の美しさです。
- OS本体:
/bin,/sbin,/usr/binなど(NetBSDプロジェクトが責任を持ってメンテナンスしている領域) - 追加アプリ:
/usr/pkg(pkgsrcでユーザーが後から入れたもの)
Linuxなどではこれらが混ざってごちゃごちゃになりがちですが、NetBSDは完全に分かれているため、システム管理が非常に楽です。

気になった方がいれば古いハードウェアを捨ててしまう前に、NetBSDで遊んでみるのもいいかもしれないです。
誰かの参考になれば幸いです。
おわり
以下、参考にしたリンクです。大変助かりました。
参考公式リンク
NetBSD Project(https://www.netbsd.org/)
NetBSD Manual Pages(https://man.netbsd.org)
NetBSD/i386 Frequently Asked Questions(https://www.netbsd.org/ports/i386/faq.html)
The pkgsrc guide(https://www.netbsd.org/docs/pkgsrc/)
参考にした記事
NetBSDでの日本語環境の構築(https://blog.htkyama.org/netbsd-japanese)
NetBSD実験所(http://kapper1224.sakura.ne.jp/UNIX33.html)
NetBSDで遊ぼうのこーな(https://legacyos.ichmy.0t0.jp/netbsd/)